@article{oai:sojo-u.repo.nii.ac.jp:00001550, author = {しまうち, みか}, issue = {15}, journal = {崇城大学芸術学部研究紀要}, month = {}, note = {稿者は2018年より、熊本県菊池市政策企画部企画振興課が運営する廃校を活用した施設である菊池市旧龍門小学校龍門地区活性化支援センター龍門アーティスト集合スタジオを拠点に彫塑作品等の制作活動を行っている(1)。菊池市は、年間9,450トンもの収穫量がある菊池米、七城米などの米の産地で、燃料となる籾殻が調達しやすい上、広い農地があって火を使った野焼きが行い易いといった好条件を備えている。そこで稿者は、このような環境を生かした彫塑制作の方法として、特に野焼きを採用している。 稿者が籾殻を使用したテラコッタ粘土の野焼き法に出会ったのは、現崇城大学芸術学部長の恩師・勝野眞言教授が “大地のメモリア”展(熊本県津奈木美術で2016年に開催)において実施した住民参画型現代美術プロジェクト「ひねってねじってぺったんこ!」に、野焼きワークショップのアシスタントとして参加した時のことであった。野焼きの協働作業時に地元住民と交流したことや、籾殻の入った外枠から作品を取り出す時に参加者との一体感や達成感が生まれたことなどが魅力的な体験として強く記憶に残り、卒業後も稿者が野焼きを続けるきっかけとなった。また、焼成によって生まれる作品のプリミティブな造形美も野焼きを続ける理由の一つとなっている。さらに稿者は、野焼きをする時に人々が火を囲むという、現代では珍しくなってしまった光景が生まれたことにも心惹かれた。現代では火が電気に変わり、生活から遠ざかって、火を見ることは非日常的な機会に限られる傾向にある(2)。野焼きをする際に火を焚くと自然と人々が集まり、知らない者同士が交流を始める場面に幾度も遭遇した。また、焼成用の土台となるコンクリートブロックやレンガを運んだり、焼成するテラコッタ作品などを運んだりする協働作業の工程(図1)、火を焚く協働作業の工程(図2)などには、一種の祭りのような要素があるように稿者には思われた。火を中心とする協働作業がもつ一種の祭的要素に対する稿者の興味は、2021年6月〜9月にかけて青森でのアーティスト・イン・レジデンスプログラム「ゆらゆらと火、めらめらと土」(3)における火に対する信仰や祭りに関する調査や、現地での野焼き時における地元住民との協働制作へと発展した。そこで稿者は、同要素が野焼きによるアートと地域との交流の根源にあると考え、稿者が行った野焼きによる制作と、制作を通してどのような交流が生じたかを本研究報告で整理しておきたい。 本稿では、まず「野焼き」について概説した後、2020年7月4日(土)〜 8月10日(月・祝)に公益財団法人東京都歴史文化財団東京都現代美術館主催の東京都千代田区にあるトーキョーアーツアンドスペース本郷で開催された「トーキョーアーツアンドスペースレジデンス2020 成果発表展デイジーチェーン」(4)に出品するために熊本県菊池市で制作した高さ2.4メートルの作品《自立について》(図3)(2020年、テラコッタ)の野焼きによる焼成と、それを契機に決定した青森県青森市の国際芸術センター青森アーティストインレジデンス(5)における地元住民とのテラコッタの野焼き協働制作(6)の2事例について報告する。}, pages = {97--109}, title = {籾殻を使った野焼きによるテラコッタの協働制作〜2つの事例にみるアートと地域との連携の可能性〜}, year = {2021} }