@article{oai:sojo-u.repo.nii.ac.jp:00001263, author = {熊野, 澪}, issue = {10}, journal = {崇城大学芸術学部研究紀要}, month = {}, note = {本稿では修了制作《A Scene》において絵画による空想の物語という題材の表現について論じていく。 第一章では鑑賞者と表現された物語の関わりという点で物語を表現することが出来る他の媒体と絵画を比較し、それぞれの特徴を述べていき、今回の題材を絵画で表現することの意味を考察した。鑑賞者は映画や小説といった媒体では描き手の設定した時間軸の中で物語を受容することになるという特徴を挙げ、絵画では自分の時間で鑑賞し描かれた物語の世界に自由に出入りすることが出来るという特徴を挙げた。比較した結果、今回は作品をどう見るかを鑑賞者に任せることを目的としているため、絵画での表現は適していると考えた。 第二章では題材設定に至るまでの経緯を述べた。まず題材設定の理由については、空想の世界を可視化したいという願望が生まれるまでの経緯を、私の空想の経験や空想の世界に対する考え方を通して見ていく。そして作品の目的が自己の願望の達成となったために作品が自己満足なだけのものになってしまうのではないかという恐れを抱き、他者の介入を想定した作品を制作したいという思いを持った。このようにして作品の目的が定まっていく中で、空想を絵画として不特定多数の人に鑑賞されることにより、鑑賞者から新たな物語が紡ぎ出されるという効果が期待出来るのではないかという考えが生まれた。次に題材となった空想の物語が生まれるまでの経緯を私の空想に至るまでのプロセスから述べていき、私の空想はファンタジー作品の影響を大きく受けていることや、空想が生まれるのは日常の風景の中であることを明らかにした。そして今回の空想では上記のことが、魚の尾が生えた少女や浴室となって現れたことについて述べた。 第三章では修了制作の画面が出来上がっていく過程を、エスキースの段階からキャンバスの画面での表現までを見ていく。まず複数のエスキースを制作し、その構図がいかに決定されたかについて具体的に示した上で、本修了制作の表現の工夫について、幾つかの例を挙げて説明した。すなわち、冷たい浴室の空間を表現するために寒色を意識して使用したことや、主役の人物を目立たせドラマチックな空間を作るために光の描写を工夫したことなどについて考察した。 以上の考察によって、今まで当たり前に描いてきた絵画という媒体を通して自分が表現したい意味を考えることが出来、絵画の持つ可能性について考察した。}, pages = {113--114}, title = {《A Scene》絵画による空想の物語の表現について}, year = {2017} }